先日階下から足音が響くと指摘され、防音対策をすることになりました。
マンション内に子どものいる世帯は多く、名指しではなく我々の居住フロアに対してですが、前日に興奮した子どもがバタバタ走り回ってしまったため我が家の可能性大です。
リビングにはジョイントマットを70枚ほど敷き詰めていますが、廊下はフローリングのままでした。
また一応はRC構造ながらも、過去に住んでいた分譲賃貸と比較すると床板自体も薄めのようです。今回改めて点検したところ、体重40kg代の私がそっと歩くだけで軋む箇所も発見しました。
子どもに走るなと言い聞かせても完全には理解できない年頃(’ならびに性格)です。
そして常にバタバタ走っているわけではありませんが、なぜか移動は基本小走りで、フローリング上ではトトトト…と音がします。
そのため多少値が張っても防音効果の高いマットを買おうと話し合い、評価の高い静床ライトの購入に踏み切りました。
なぜ音が発生するのか
音の種類は二つ
音には二つの種類があります。
重量衝撃音(LH):子どもが走り回る音
軽量衝撃音(LL):椅子を引いたりスプーンなど落としたときの音
集合住宅で問題になるのは大抵LH値です。そして振動は直下だけでなく床面を通じて両隣にも響くことがあります。そのため上階から音がしても音源が真上の部屋とは断言できず、また階下からの音だと思っても実は隣室からということもありえます。
子どもの足音が響く理由
大人であれば階下に配慮して静かに歩きますが、子どもは動き回りたい衝動を抑えることができません。
特に幼児の場合は「下の部屋の人がビックリするから静かにね」と注意されても、理解できなかったり、飛び跳ねたいという自分の欲求が優先されてしまいます。
歩いたり走ったり、体を自在に動かせるのが嬉しくなるのは発達の過程です。成長と共に落ち着き、親の警告を聞き入れることができるようになるまでは、完全に制止するのは困難だと思われます(活発な子、物静かな子で差異はあります)。
そして、実は子どもの足音は歩いているだけでも響きます。これは歩行時に踵に重心がかかっているせいで、いわば「踵で歩いている」状態だからです。重量衝撃音となるのも頷けますね。防音について調べている中で知ったことですが、驚きでした。
となると、「うちの子はおとなしいから家の中では走らない」というご家庭でも、騒音問題と無縁ではないかもしれません。
子どもが歩き回るトントンという音が、周囲の部屋に響いている可能性も大いにあります。
床の防音対策
床の防音対策は、音や振動を伝わりにくくする敷物の利用が一般的です。
住宅購入前やリフォームを検討中ならば床下に衝撃吸収材を仕込むこともできますが、居住中の家で手っ取り早く対策をしたい場合は現実的ではありません。
床の防音対策として代表的な敷物は「ジョイントマット、コルクマット、カーペット」などです。
いずれも断熱効果があるので、防音だけでなく底冷えを防ぐ役割も果たします。それぞれの特徴については以下の通りです。
ジョイントマット
乳幼児がいる家庭の多くで使われているのがジョイントマットです。ハイハイやよちよち歩きの時期には転倒がつきものですが、柔らかい素材で怪我から守ってくれます。
汚れたマットは取り外して洗えるので、食べこぼしやお漏らしをしても大丈夫です。
製品の規格によってはジョイント部分がぴったりとはまらず隙間ができることがあります。
また、敷くことで「いかにも子どものいる家」といった雰囲気になるので、美観にこだわる方には向かないかもしれません。
コルクマット
床の衝撃音を吸収しやすい素材です。テレビの音や話し声など、空気を媒体として伝わる音を防ぐ効果はありません。
安価で購入でき、ハサミやカッターでの加工も容易なので、部屋に敷き詰めることも難しくないでしょう。
一般的なコルクマットは、床暖房やホットカーペットと併用できない場合が多いです。また、材質上コルクのカスが出ることがあります。
カーペット
部屋の形状に合わせてカットできるので、隙間なく敷き詰めることができます。
また色や素材が豊富なため、部屋の雰囲気を壊さずに防音対策することが可能です。
防水加工がされていない場合、飲み物などをこぼした際にすぐに拭かなくてはしみこみやすくなります。
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それぞれにメリットとデメリットがあります。我が家では乳児期からジョイントマットを使用していますが、接続部分の隙間にゴミやホコリが溜まるのが気になる点です。
そして物心がつきはじめると、子どもはジョイントマットをべりべりと剥がしては投げます。
今回の足音対策も、当初はコルク+薄手カーペットを検討していましたが、コルクのカスが出るという口コミを見てやめました。
最終的に選んだのは静床ライトというタイルカーペットです。サンプルを取り寄せて厚みを確認できたことが決め手となりました。
静床ライトとは
静床ライトの特徴
静床ライトは日東紡マテリアルの製品で、高い防音性を持つ住宅用タイルカーペットです。
カーペットは上部のパイル層と下部のパッキング層の二層から成ります。さらにパッキング層は「ガラス繊維補強PVC+特殊ポリエステル不織布+PVC」という三層構造で、クッション性と遮音性に優れています。
防音を掲げる製品は、「遮音等級」によって性能を示していることが多いです。遮音等級とは、JIS(日本工業規格)で定められた防音性能の等級を示すものです。
静床ライトは軽量床衝撃音について遮音等級LL-40を有しており、スリッパのパタパタ音や椅子を引きずる音などは「かすかに聞こえる程度」にまで小さくすることができます。
静床ライトのお手入れ
カーペットにありがちなお手入れの悩みも解決されています。
丸洗いOK
タイル式なので、汚れた部分を外して水洗いすることができます。
普段のお手入れは掃除機やカーペット用粘着クリーナー(いわゆるコロコロ)で大丈夫です。
防ダニ加工
特殊な加工が施されており、ダニの繁殖を防ぎます。
静床ライトの種類
カラーバリエーション
基本の八色+各販売店オリジナルカラー三色です。
施工は縦横に並べる市松貼りが推奨されています。単色でもきれいですし、複数色を組み合わせて個性的な床を作ることも可能です。
上位モデル 静床ライトプレミア
静床ライトには、静床ライトプレミアという上位モデルがあります。通常の静床ライトよりも重く、防音効果も高い製品です。
両者の基本性能の比較は以下の通りです。
サイズ | 厚み | 重量 | 構造 | 価格 | |
静床ライト | 50cm×50cm | 9.5mm | 1.5kg/枚 | ガラス繊維補強PVC+特殊ポリエステル不織布+ガラス繊維補強PVC | 1,000円+税/枚 |
静床ライトプレミア | 50cm×50cm | 12.5mm | 2.25kg/枚 | ガラス繊維補強PVC+特殊ポリエステル不織布+ガラス繊維補強PVC | 2,400円+税/枚
14,000円+税/8枚 |
さらにプレミアには二つの新機能が追加されています。
・防臭加工:アンモニア臭を防ぐ
・ペット対応:爪が引っ掛かりにくい
強い防音効果が欲しい方、ペットを飼っている方はプレミアムを選んでもよさそうです。
ただし価格の面ではかなり差があります。静床ライトはバラ売りの他、10枚単位での箱売りもされており、一箱の値段は10,000円+税です。
プレミアは8枚入りで一箱となり、バラ売りだと割高になります。
プレミアを広範囲に敷き詰めようとすると結構なお値段になりますので、お財布とよく相談しましょう。
重ねて防音 P防振マット
P防振マットのしくみ
もっと強力に防音したい方におすすめなのは、P防振マットと静床ライトの重ね敷きです。
このマットは自動車製造過程で発生する廃材から作られており、耐久性に優れています。
フレーク状にしたゴム同士には適度な隙間があるため、衝撃音の吸収に高い効果があります。
P防振マット一枚の大きさは910mm×455mmで、四枚で一畳分のサイズです。
効果
P防振マットを使用すると、未使用時と比較して発生音が約20%小さくなります。
畳を持ち上げて下に敷けば和室の防音も可能です。
P防振マットの種類
P防振マットには、厚さ5mmと10mmの二種類があります。
高さの取れない場所では前者、楽器の下などより強く遮音したい場所には後者がおすすめです。
なお、両者の価格は以下の通りです。
5mm :2,800円+税/枚
10mm:1,600円+税/枚
サンプル取り寄せで実見
サンプル取り寄せが可能
静床ライトおよびP防振マットは、サンプルの取り寄せが可能です。送られてくるのはカット片ですが、色味や厚みの確認ができるので、迷っている方はぜひ取り寄せてみることをおすすめします。
取り寄せにかかる費用は、それぞれ送料込216円とかなりリーズナブルです。静床ライト自体は一枚(50cm四方)あたり1,080円と決して安い品ではありません。購入後に思っていたものと違うと嘆くのは残念なので、ぜひ実物に触れてみてください。
届いたサンプル
実際に取り寄せたサンプルです。静床ライト11色が各一片ずつ、P防振マット二種類が一枚ずつ届きました。断面はこんな感じです。
ドアの下に敷けるかどうかが知りたくて取り寄せました。蝶番の種類によってはドアの位置を高く調整することができますが、我が家はできないタイプのためです。
上の写真はその試験(?)です。一枚一枚が小さいので、裏面をテープでとめて大きくし、開閉可能かチェックしました。
結果的に、リビングと廊下の間にあるドア隙間は5mmなので案の定だめでしたが、なぜか同じ作りのはずのトイレのドアは辛うじて開けるので、リビングの扉部分を差し引いて計算しました。
必要枚数は隙間埋めのカット用を含め15枚程度と予測されましたが、子どもの嘔吐や粗相で洗い替えが必要になるだろうと想定し、10枚入×2箱の20枚の注文となりました。
静床ライトを購入
静床ライトが到着
静床ライト10枚×2箱が届きました。一枚1.5kgなので一箱15kg、二箱で30kgというかなりの重量です。
とりあえず玄関に立てかけたまま開封し、少しずつ運びます。
配置してみる
ドアの可動域を確保したため、おかしなスペースができてしまいました。
見た目もなんだか変なので、そのうちニトリかどこかで薄手のタイルカーペットを買ってこようと思います。
廊下幅は柱などの都合で一定ではなく、最大箇所が106cm、最小箇所が90cmほどです。
一枚50cm四方なので横幅は二枚前後となりますが、隙間を埋めるために6cmの束を作るのがちょっとしんどいところです。
リビングのジョイントマットと廊下に敷く静床ライトの接地面です。壁のでっぱりに沿ってカッターで一部をカットしてみました。
画像右側、壁際に6cm幅にカットした静床ライトをはめこんでいます。うっすら継ぎ目がありますが、わかるでしょうか。
カットするにあたり、裏面に鉛筆で線を引き、切れ込みを入れるようカッターを数回走らせて切断しました。サクサク切れるわけではありませんが、重労働というほどでもありません。
ただし紙などを切るときに使う細身のものではなく、こういうごついカッターが必要です。もちろん、下には段ボールや廃雑誌を敷きます。
効果のほどは?
自分たちで振動の低減を感知することは難しいですが、子どもの足音はかなり小さくなりました。
また硬いおもちゃなどを落としても衝撃が吸収されるので、防音に関しては一定の効果が出ていると思います。
静床ライトを敷いた方がむき出しの廊下よりも断然静かですし、冬場は底冷え対策にもなりそうです。
まとめ:静床ライトは幼児のいる家庭におすすめ
たとえ走り回ったりしなくても、子どもの場合は歩くだけでも振動を生じさせるので、幼児のいるご家庭は注意が必要です。
完璧な防音とまではいきませんが、静床ライトを敷くことでトコトコ音もだいぶ軽減されましたので、よい買い物をしたと言えるでしょう。
私がうっかりスタンド型の掃除機を倒してしまっても、ガタンという大音を和らげてくれます。
もしも床の防音対策を検討中でしたら、ぜひ静床ライトを候補に入れてみていただきたいと思います。